伝統文化と和紙の奥深さを知る、道の駅「安達」で和紙手漉き体験
工房では幻の「上川崎和紙」が作られていた
さて、この工房、体験だけにしては広いなと思ったのですが、実際にここでは「上川崎和紙」という伝統的な和紙を手漉き生産しているのだそうです。
そもそもなぜここに和紙伝承館があるのかというと、二本松市(旧安達町)上川崎という地域は、有名な和紙の産地だったんですね。「だった」というのは、最盛期に300戸以上あった和紙の生産農家さんが、今ではゼロになってしまったため。千年以上の歴史を誇り、県の伝統的工芸品にも指定されている美しい上川崎の手漉き和紙ですが、後継者がなく、現在はこの伝承館で細々と作られているのみだそうです。本当に幻になってしまいそう……。
体験が終わったらちょうど、蒸して表皮を剥いだ楮(こうぞ)から、さらに外皮を取り除く作業(これを楮引きという)が始まりました。
販売されている「上川崎和紙」という冊子を読むと、手漉き和紙づくりは本当に大変。この日に体験した紙漉き(抄造)ができるようになるまで、つまりあの「紙料」ができるまで、いくつもの工程を経るのです。考えてみれば、黒いゴツゴツした木の皮があんな真っ白トロトロの液体になるなんて、すごくないですか?
この紙漉き、いまではこの工芸館で一年中体験できますが、昔は冬季が仕事の最盛期。原料の楮の木に虫がわかないからだそうですが、寒い冬に冷たい川の水で楮を洗う重労働でした。伝統工芸の後継者不足は、ノスタルジーだけでも経済合理性だけでも語れない、悩ましい問題だといつも思います。
現代の和紙生産は機械漉きが主流になり、この工芸館でディスプレイされている鮮やかな和紙も、実はほとんどが全国各地で作られた機械漉きのもの。工房で丁寧に手漉きされた上川崎和紙は、展示ではなく引き出しに入って大切に売られています。さまざまな風合いと手触りをぜひ確かめてみてください。
ここでしか食べらないご当地スイーツは、これ!
さて、金網オブジェを水切りしている間にスイーツチェックはいかがでしょう。まずは和紙伝承館の隣にあるアイス工房ツー・スリーさんへ。道の駅にあるソフトクリームって、よくご当地のモノを練り込んでありますよね。ここでのご当地フレーバーはもちろん、和紙ソフト(350円)。材料は楮の若芽だそうです。
一口食べると、なんとなく「紙の味」がするような(笑)。でもほとんどクセはないですね。基本のソフトクリーム自体がおいしいので、パクパクいけます。ここは他にもかなりユニークなフレーバーのジェラートが並んでおり、そのクリエイティビティには感服します。筆者、次回は「ひとめぼれ」いってみたいと思います。
もうひとつ、道の駅「安達」上り線で外せない甘いモノといえば、岩井屋さんの元祖あわまんじゅう(1個100円)。本店は柳津町(やないづまち)にある岩井屋さんですが、町外ではここだけに出店しています。
運がよければ蒸したてのアツアツが食べられますよ♪サービスのお茶といっしょにぜひどうぞ。
ちなみに、道の駅「安達」の下り線側に移動していただくと、ここでも人気スイーツに出会えます。その名も「幻のクリームパン」!パンですけど、中のカスタードホイップクリームがふわふわで、口当たりはとっても軽やか。見た目はシンプルながら、知る人ぞ知る二本松ベーカリーさん人気No.1商品です。
まとめ
手軽に体験できる和紙手漉き。筆者が体験した金網オブジェや賞状づくりは要予約、はがきや色紙などは予約なしでもOK。ですが、団体さんの予約が入っている場合もあるので、あらかじめ電話で確認するのがベターでしょう。一閑張りという大きな作品を作る教室も定期的に開催されています。詳しくはお問合せを。この日は吊るし雛のディスプレイもあざやかでした(3月11日まで)。
道の駅「安達」上り線福島県二本松市下川崎字上平33-1
0243-61-3100
道の駅「安達」下り線福島県二本松市米沢字下川原田105-2
0243-24-9200
二本松市和紙伝承館(上り線)9:00~17:00(体験受付は16:00まで)
0243-61-3200
http://www.michinoeki-adachi.jp/shop_nobori/washi.html
アイス工房・ツースリー(上り線)10:00~18:00
0243-61-3240
岩井屋(元祖あわまんじゅう)(上り線)9:00~17:00
0120-294247(柳津本店)
http://www.office-web.jp/iwaiya/
二本松ベーカリー(下り線)8:00~19:00、冬期間(12月~2月)は8:00~18:00
0243-24-9200
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