お米好きの皆さんへ。福島の新品種「天のつぶ」の美味しさを誰よりも熱く語ります!
秋も深まってきましたね。前にテレビで見た情報によると日本は世界的にも紅葉する木の種類や数が多く、秋の美しさを特に楽しめる国なんだとか。なかでも福島県は人の生活に身近な里山も多く気候的にも朝晩の寒暖の差も大きいため、特に楽しめる! らしいのです。
福島市の磐梯吾妻スカイラインや浄土平、裏磐梯、鶴ヶ城を臨む会津若松、須賀川市の牡丹園、小野町からいわき市へと連なるあぶくま山系の夏井川渓谷、県南の矢祭山や南会津の只見線沿線の絶景からなどなど、県内には数え切れないほどの風靡な紅葉スポットが盛りだくさん。いやあ、こういう風に並べていくといよいよ、「福島TRIP」のタイトル通りの芸術点高そうな記事が期待されますねー。
だがしかし。
残念ながら、そこはこのワタクシの記事でございます。秋と言えば、当然食欲の秋。花より団子、月を見るにも酒と肴を。紅葉にも当然、秋の味覚を……と、いつも通り参りましょう。(毎回毎回、食いしん坊万歳!ですいませんね。)
秋の味覚は色々あれど……
とはいえ秋の味覚も色々ありますね。この季節には日本酒も、各蔵から「ひやおろし」という、新酒を夏の間寝かせて穏やかさが出てきたお酒が出てきます。これがまた秋刀魚やキノコなど、秋の味覚との絶妙な相性を誇るのです。静かな秋の夜長に、ススキを静かになびかせて吹く微風。虫の音の響きを聴きながら、ひやおろしにそっと口を寄せて……。いやぁ、たまりませんね。
秋も魅力は多すぎて何を語るか迷うところではありますが、前回の記事では食の故郷であるミルクを語ったので、今度は日本人の食の原点、お米にしてみましょう。秋は美味しい新米の季節です♪
とりわけ、今回は贔屓の引き倒し。われらが福島県の誇る新品種、「天のつぶ」にスポットをあててみたいと思います!
世の中は、あちらもこちらもお米の新品種が誕生ラッシュ!
少し前まで日本のお米はコシヒカリのシェアが圧倒的に強く、他にひとめぼれ、ヒノヒカリ、あきたこまちなどがほとんどでした。
しかし最近は、全国で新しいお米の品種が誕生ラッシュ! 昔は美味しいお米が作りにくかったと言われている北海道でも「ゆめぴりか」などの美味しいお米ができ、青森で初めて特Aを獲得した「青天の霹靂」も魅惑的な美味しさ。他にも秋田の「秋のきらめき」「つぶぞろい」岩手の「銀河のしずく」、山形の「つや姫」、宮城の「だて正夢」、北陸福井の「いちほまれ」、香川の「おいでまい」、熊本の「森のくまさん」佐賀県の「さがびより」などなど。(紹介しきれなかった産地のかた、ゴメンナサイ!本当にすごく沢山あるんです)
そんな並みいる強豪だらけの中で福島県がお送りする新品種は、「天のつぶ」。デビューは2011年、震災の年の秋です。このデビューの年の福島は震災後、まあ、なんだかんだあって色々と苦労しまして。待ち焦がれたデビューが、そのなんだかんだに振り回されつつという、ちょっとだけ不遇のスターなんです。
ちなみに、そのなんだかんだ関連での検査を福島の米は、自家用米も含めた1000万袋以上の全生産量にやってまして。結果はこれがまた、基準値越えゼロなんて当たり前で、99.99%以上が検出限界値よりも低いのです。仮に毎日トン単位で食べても他産地と安全性は全く変わらないのですよね。まあ、これ読んでる人なんかには今更な話ですけどね。(笑)
なにより福島県はお米の産地としても非常にハイレベルで、県内の会津、中通り、浜通りの3地方ともに特Aランクの評価を叩きだしています。(2016年度福島県産コシヒカリ)
特A……と簡単に言われますけど特A評価はそんなに量産されるものでは無く、いつか特Aを取るのが悲願という産地は沢山あります。
※日本での米のランク評価は評価が高い順から、
特A > A > A’ > B > B’
となっています。
福島はそんな中での、震災前からの特A評価常連地域だったりするのです。詳しくは、TOKIOのテレビ番組ザ・鉄腕ダッシュ!での「新・男米」企画のアレコレを見ると、福島の米がどのようなものか、その一端を見ることもできます。結構スゴいんですよー?
そういうお米を食べると、美味しすぎてまさにご飯が茶碗から消えていくかのようなのです……。
もっとも、相変わらず福島はPRやブランド化戦略が有り得ない程ド下手で、全国的にはマイナー産地扱いでイマイチ知られていませんけど……。(´・ω・`)イツモソンナノバッカリダヨネ
敢えて流行から離れて個性を求めた独自の味わい
福島県内では、特Aクラスの非常に美味しいコシヒカリやひとめぼれが毎年当たり前のように生産され、それらは県内の生産地域ごとに「吾妻(あづま)の輝き」、「あさか舞」「Iwaki Laiki(いわきライキ)」などのブランド名も冠しています。
しかし、美味しい米が食べ放題に等しいそんな福島県であっても、実は天のつぶは、それ自体の食味が特Aではありません。福島県中通りでA評価です。
え? では何でわざわざ推すの? 意味わかんない。他の米の方がいいでしょ??
いえいえ、それでもオススメ出来る理由がちゃんとあるんですよ。
「天のつぶ」は、一口目にハッキリとした輪郭を感じさせるような粒立ちを感じさせ、口のなかでほっこりとほぐれていくような食感です。続いてほのかな甘さと旨味が「含み」のように広がります。「お米、ここにあり!」とでも言うかのような存在感ですが、粘り気はそれほど高くない上、味わいへのアプローチそのものは比較的あっさりとしているのです。
最近の世の中は、とても美味しいものが多くなりました。食卓を彩る非常に強い味のおかずたちは、いわば味わいのスーパースターたち。一品一品がズバ抜けた個人技のような旨さや味わいの強さを持っています。球技で例えるならば、最前線で華麗に点を取りに行くアタッカーのような存在でしょうか。
そうした味わいの傾向は、おかずのみに留まらずお米にも及んでいます。お米自身にも、お餅のような粘り強さと強烈な旨味、とろけるような舌触りを併せ持つものが最近では珍しくありません。
もちろん、そういうお米の美味しさは本当に絶品ですし、それが生かせるシーンは沢山あります。しかし、良く思い出してください。食事の中で「白米」に求められている役割は、それだけだったでしょうか?
たとえば、とても美味しいおかずに出会ったとき。いくら美味しいと言っても、まるで肉で肉を、脂で脂を洗うような食べ方ばかりでは、その魅力を堪能しきる前にお口もお腹の中もすぐに疲れてしまいます。
そんなときは、「ああ、これは白いご飯が欲しくなる…!」そんな気持ちになりませんか? そのときに求めているのは、お米自体の味や口当たりまでとろけるような、コッテリとした濃厚な味わいや柔らかさでしょうか?
みなさん、もうお気づきですね?「天のつぶ」が目指しているものが何であるのかを……。
このお米は、いわば食事という任務遂行の「司令塔」であり、「マネージャー」であり、全体を統べる「監督」であるともいえます。何があっても動じない凛とした粒立ちを持ちながらも、チームメイトそれぞれの個性や良さ全てを華麗にアシストし、その魅力を最大限に生かすためのお米なのです。
ブラボー!
もちろん自身も必要な旨味を持ち、全体への存在感はしっかり噛みしめさせながらも、決して、米自体が強すぎる自己主張と個人プレーで最前線へと突破を仕掛けるような方向は目指していません。かといってモッサリした雑味や野暮ったさは無く、あくまでもツヤと透明感のある洗練された味わい。いわば「淡麗旨口なお米」なのです。
それはまさに、多種多様なおかずが溢れるグルメな現代ならではの白米に求められる役割を追求したお米……!ついつい、おかわりが進みます。
淡麗なんていうと、まるで日本酒みたいな味の表現ですね。おかずに合わせて米を選ぶというのもお酒をおつまみに合わせるのと良く似ています。もっとも、お酒の主原料はお米ですから、似てくるのも当たり前なのかも知れませんね。(*^ ^*)
お米を選ぶときの参考にどうぞ???? pic.twitter.com/OXJZUN0pRb
— 吉谷光平 ????9月28日単行本???? (@kakikurage) September 26, 2017
お酒にマリアージュの多様性があるのと同じように、お米にも、おかずやシーンに合わせた相性や多様性の中でこそ本領発揮される魅力があります。「天のつぶ」はそんな中で、あえて流行の主流に乗らずに淡麗旨口とも言えるジャンルを拓くパイオニアであり、美味しい米どころ福島が提案する、旨い米のもう一つの可能性であるとも言えるのです。
天のつぶの楽しみ方
そんな「天のつぶ」ですから、魅力やそれを引き出すための使い方がきちんと知られれば、非常に大きな可能性を秘めています。そう。きちんと上手にPRされ、その適性と魅力がちゃんと伝わればね……。(´・ω・`)
味が強い料理のツユや揚げ物の油でもドロドロになりにくく、それらの個性すらも調和させてしまうこのお米は、福島県がPRしておすすめするように「どんぶりメシ」に良く合うことでしょう。ツユだく牛丼にも負けません。
でも、相性が良いのはそれだけじゃないんです。私としては、加えてぜひオススメしたいのが少し優しい味わいの「日本のカレーライス」。
「天のつぶ」は粒立ちがシッカリしているため、たとえ汁物をかけたとしても、口の中でご飯のかたまりがほぐれるようなホロホロ感が残りやすいのです。それでいてお米自体の味もカレーと喧嘩せずに、上手に混ざり合って調和します。
実際のところ、これだけ身近な存在でありながら日本のカレーに合うお米!って、意外と難しく感じませんか?モッチリしすぎても、柔らかすぎても、淡泊すぎても、パサパサしすぎても、日本のカレーの味や食感との全体的なバランスや調和は難しい……。ぜひ、この「天のつぶ」をご家庭のカレーに合わせてみてください。なるほど!と思えるかも知れません。
そういえば、カレーと言えば! 大変個人的な話で恐縮ですが、震災後の福島をテーマにした早野龍五先生との対談本「知ろうとすること」などで福島ともご縁がある糸井重里さんのコレ。「カレーの恩返し」
を先日の「ほぼ日」のイベント「相馬で気仙沼さんま寄席」で手に入れていたことを思い出しました!
糸井さんが美味しいカレーを追及し続けて試行錯誤の上に生まれたこのスパイス。それを使ったカレーに、福島の「天のつぶ」を合わせてみたい衝動に駆られてきました。これ絶対、美味しいと思うんだよなー。
お寿司にも!
一方で、その淡麗旨口の身上だからこそ、そうした強い味わいとは真逆とも言うべき繊細な味わいもまた、生かしてくれるように感じます。
たとえば淡麗旨口のお酒を料理に合わせるのと同じように、刺身や焼き魚にした上品な白身魚や和懐石など、食材自体の善し悪しのゴマカシが利かない料理との相性もかなり良いと言えます。
そこからさらに転じて、お寿司。ご紹介したような淡泊な味わいの白身魚からトロやウニなどの芳醇なネタまで、幅広い食材を生かせる名脇役としての素養がある…というのはもちろんですが、それ以上に素晴らしいポイントがあります。
ご存じのように寿司用のお米には硬さが求められるため、古米や古古米を使うのが定番です。しかし何度もお伝えしているように、このお米は粒立ちの良さとほぐれるような空気感を楽しめるのが身上! たとえ新米であっても、新米の良さを持ちつつある程度は古米の良いとこ取りみたいな使い方も出来てしまうのです。
現代は寿司ネタが様々な進化を続けています。「天のつぶ」は、もしかしたらお寿司のシャリの可能性をも広げてくれるのではないでしょうか。
その寿司などをはじめとした和食が世界に広がりつつある中で、このお米は実際、現在海外では高く評価されはじめています。中東のカタールやアラブ首長国連邦からは数ある日本のお米の中から福島県猪苗代町産「天のつぶ」が選ばれ、同国向けに輸出されて現地で大きなシェアを持っていたりもするのですよ。意外とスゴいでしょ?
「天のつぶ」は、あんまり知られてないけれど、本当はもっと出来る子なんです。モッツァレラチーズにトマトを合わせるのと同じように、おかずとのマリアージュによって単独で食べるのとは別の美味しさが生まれる、素晴らしいポテンシャルを持っているのです。それが知られず本領発揮の機会に恵まれないままでは、実にもったいない!
さあ、改めて申し上げましょう。今まさに、新米の季節がやってきました!
どうかみなさまも、この福島県オリジナル品種「天のつぶ」の魅力を楽しんでみてくださいね。(ついでに、もし良ければPRがへたっぴな福島県をチョッピリ助けるつもりで、このお米の美味しい食べ方なんかも周りの人たちに広めてあげてください……。(´・ω・`)
天のつぶと相性が良い料理(※個人の感想です)
- 和懐石料理全般
- 寿司(シャリとして使用)
- 平目(刺身・塩焼)
- ヤナギカレイ(塩焼・天ぷら)
- 赤次【※吉次の地元名】(煮付・塩焼)
- ドンコ(煮付)
- ギンダラ(煮付)
- アナゴ/またはサンマの蒲焼
- スズキのムニエル
- イシモチのポワレ
- タラのフリッター
- メヒカリ(唐揚/天ぷら)
- カツオの揚げ浸し
- 海鮮丼
- ニシンの山椒漬け
- 阿武隈山系・南会津のマトン/ラムジンギスカン
- 牛丼・豚丼・ソースかつ丼
- 山菜(天ぷら)
- 川俣シャモ/会津地鶏などの唐揚げ
- 卵かけごはん
- 日本のカレーライス
などなど