筆者も通う、福島市で本好きがハマるスポットBEST3
たとえば東京で「ふくしま」と言えば「福島県」のことを指しますが、県内で「ふくしま」と言うと、一般的には「福島市」を意味します。その福島市内には土湯、高湯、飯坂など全国区で有名な温泉をはじめ、桃・梨・リンゴなどの果樹農園が並ぶフルーツライン、そして磐梯朝日国立公園の一角をなす浄土平や吾妻小富士などがあり、観光スポットには事欠きません。
でも福島市の魅力は案外、市街地にも隠れていたりします。住んでみるとわかるのですが、福島駅の周囲に比較的いろんな施設が集まっていて、小ぢんまりしているのです。
駅から徒歩圏内におしゃれなカフェやレストランがたくさんありますし、お土産処なら駅西口にある観光物産館で充実の買い物が楽しめます。子供の夢を育む施設「こむこむ」の中にはプラネタリウムがあって、その大人向けプログラムがけっこうオススメだったりします。
その中でも今回は「読書」をテーマに、「福島市街で半日過ごすならここ!」というスポットをご案内しましょう。読書の秋だけでなく、街中でゆっくり避暑・避寒するのにも、「本」は欠かせないアイテ
ムですからね。
Books & Café コトウ
まずご紹介したいのは、2017年4月にオープンしたばかりのこのお店。古本屋さんであり、カフェでもある「Books & Cafeコトウ」さんです。
エッセイやドキュメンタリーが中心の単行本のほか、絵本や雑誌、フォトブックやアートブック、洋書もたくさん。ディスプレイにもオーナーさんのセンスが表れています。
カフェスペースでドリンクをいただきながら店内の本を読むのはOK(汚さないでね)。もちろん買取りもしてくれます。古書店の魅力は、一般書店では絶対に出会うことのない本との出会い。コーヒーを飲みながらそんな一冊を探してみるのも贅沢な時間の過ごし方なのでは。
シンプルなカフェメニューですが、それぞれにこだわりがあります。アイスクリームが添えられたガトーショコラはオーナーさん手作りです。
そのオーナーは小島さんといい、店名のコトウはそれをもじったものだとか。「陸の孤島にもひっかけてるんですよ」――なるほど。こよなく本を愛する小島さんとのおしゃべりも楽しい店内です。陳列前のとっておきの一冊なんかも見せてもらえちゃうかもしれません。
余談ですが、筆者の世代なら、昭和40~50年代の「暮らしの手帖」を見てときめかない人はいないのではないでしょうか!?
ちなみに、ここは福島駅から1キロ少々。歩いても15分程度ですが、お天気がよければ駅でレンタサイクルもオツかと思います。かごに書いてある「ももりん」とは、福島市の観光PRキャラクターです。うさぎです。なぜうさぎなのかはこちらのページをどうぞ。
信夫山文庫
本も読みたいがランチも食べたい。という気分なら、コトウさんから北へさらに1キロほど、市民のオアシス(たぶん)信夫山の麓にある老舗の本カフェ、「信夫山文庫」へ。ちなみに、信夫山は「のぶおやま」ではありません。「しのぶやま」と読みます。
古民家を改装したカフェは、カウンター席のある土間の奥に縁側のあるお座敷が続き、ノスタルジックな雰囲気です。
オーナーさんが集めた本が並ぶ書棚の上の窓からは、やさしい午後の日差しが差し込みます。「ごゆっくりどうぞ」を真に受け、ついつい長居してしまう場所でありまして、お昼ならランチ、おやつなら自家製餡のあんみつなどをいただきつつ、手に取った文庫にのめり込みます。1冊読了して気づけば2時間くらいは経っていますが、1日中ここで過ごすツワモノもいるとか。
店内で読めるだけでなく、なんと貸出しもしてくれます。無料です。完全に信頼ベースです。福島はいい人ばかりなんですね。
福島県立図書館
本といえば、真打はこちら。約100万冊の蔵書があり、もちろん通常の図書館として調べものなどにも重宝するのですが、なんといってもその贅沢な広さと快適な空間が、筆者の大のお気に入りです。
信夫山を背に建つ重厚感ある外観。広々していてなんとも良い「気」が流れている感じ。
建物内も、大きな窓、高い天井。すべてがゆとりある配置です。読書席の他にもソファーや椅子がたくさんあって、座れないということはまずありません。軽読書コーナーには飲食の持ち込みも可。新聞や雑誌もゆっくり読めます。
東日本大震災関連の文献も充実していますし、ロビーには定期的に違うテーマでセレクトされた本がディスプレイしてあって、手に取れば新しい世界を発見するきっかけにもなります。こんなサービスを満喫して1日中過ごしてもタダ!公共施設ってすばらしい。いや、納税者として堂々と利用しましょう(笑)
お隣りには県立美術館があり、こちらも常設展だけなら270円で見られます。コレクションには、会津が生んだ版画家・斎藤清のほか、海外作品ではピサロ、マネ、ゴーギャン、そしてアンドリュー・ワイエスやベン・シャーンといった近代アメリカの具象画も。
図書館と美術館はいずれも1984年の竣工。建物自体が、なんというか、日本という国にまだ余裕があった時代を感じさせる設計・デザインで、それも合わせて楽しみたいところです。敷地内には小さな庭園もあり、活字で疲れた目を緑で休めるのもいいですね。
まとめ
福島市街で本とともに過ごすひととき。吾妻山のトレッキングや温泉を満喫した後、福島駅に戻って来たけれど、夕方の新幹線まで少し時間がある… なんていうときは、こんな過ごし方もいかがでしょうか?
おまけ
陽気のいい時期なら、少し足を延ばして信夫山の散策をプラスしてみましょう。
信夫山文庫からすぐのところに、護国神社がありますのでお参りをどうぞ。左手に下ると信夫山公園。春は桜がきれいです。
もう少し探検したい方は、護国神社の右脇の道を登って羽黒神社まで歩くのもよいでしょう。こちらに奉納されている長さ12メートルの巨大わらじは、日本一なんだとか。ちなみに福島駅周辺で8月に開催される「わらじまつり」では、この大わらじが山から下りてきます。その見守る中で、老若男女がわらじを担いで走る「わらじ競争」なんていうのも行われます。
なお、福島市街地の中にぽっかり島のように浮かんでいる信夫山は、標高275メートルで山というより丘のような高さですが、意外に傾斜がきつく、特に神社までの参道はかなりデコボコの石道。ヒールやサンダルでは行かれませんのでご注意を。
羽黒神社から東に下ると信夫山ビジターセンターがあり、その屋上からは市街地が一望できます。
ちょこっとハイキングから本格登山まで、信夫山にはいろいろなコースが用意されているので、ビジターセンターで情報入手してみてください。県立図書館の裏手からも遊歩道が伸びていますよ。
Books & Café コトウ福島市宮下町18-30 2F
11:00~19:30(金土は21:30まで)定休日:火曜日
信夫山文庫福島市大明神6
024-534-2558
11:00~16:30 定休日:火曜日、第1・3水曜日
福島県立図書館福島市森合西養山1
024-535-3218
9:30~19:00(土日祝日は17:30まで)休館日:月曜日(祝日の場合は翌日)、第1木曜日ほか