ライダー歴20年の筆者がこっそり勧める福島でツーリングするなら立ち寄りたい秘湯「湯岐温泉」
啓蟄も過ぎ、暦の上ではもうすっかり春。休みの日にはバイクに乗りたくて内心うずうずしているライダーが多いのではないでしょうか。筆者もそんな一人です。
高校生の頃家にあったスクーターに乗ったことをきっかけにバイクの面白さに目覚め、すぐに中型(当時)免許を取得。それ以来、バイクのない人生は想像もつかず、主に2サイクル車を乗り継いで、現在はYAMAHA Trickerで田舎道や林道をトコトコ走りながら写真を撮ったりしています。
今回は、そんな筆者が選ぶツーリングにぴったりな福島県南部にあるとっておきの秘湯をご紹介します。
400年続く秘湯、湯岐温泉を目指す
東白川郡塙町・奥久慈県立公園内にある湯岐(ゆじまた)温泉。標高500mの阿武隈山中に旅館3軒がひっそりとたたずむ秘湯で、400年以上も前から「中風の湯」として親しまれてきました。今も遠くから湯治に訪れる方もいます。
塙駅からバスで約30分なのですが、なにしろ本数が少ない! 公共交通機関では行きにくいので、バイクで行くのにもってこいなのです。
湯岐温泉まで、途中、棚倉城跡や江竜田の滝を訪ねながら向かうことにしましょう。
「棚倉城跡」のお堀には巨大な〇〇が住んでいるという言い伝え
郡山市内を出発。まず国道49号線をいわき方面に。谷田川のセブンイレブンを過ぎたら、信号のある丁字路で県道141号・玉川田村線へ。JR水郡線を右手に見ながら走って行くと、福島空港の近くで国道118号(石川街道)に出ますので、そのまま南下。この近く、国道に出る手前にある「道の駅たまかわ」のお蕎麦もおいしいですよ!
さて、水郡線に沿って国道118号を磐城石川駅、磐城浅川駅を通り過ぎた頃、「棚倉町内」左折の道標が出てきたら県道177号を左に曲がります。
ゆるいカーブを下っていき、ぱっと視界が開けるあたりの左手の田んぼの中に、よく目立つ立派な桜の木があります。「花園しだれ桜」です。開花の時期には水を張った田んぼに姿が映り、とても綺麗なはず。その頃に合わせてまた撮影に来ようと決めました。
そのまま県道177号線を進んで町の中心部へ。このあたり、よく見ると街灯が和風の意匠です。しばらく「城址公園」の看板を見ながら進んでいくと、棚倉郵便局の右手が公園入り口です。
大きなケヤキの木が城の番人のように追手門跡にそびえ立っていて、その向こうにお堀と土塁が綺麗に残っています。
築城したのは丹羽長重(にわ ながしげ)。築城技術の高さで知られた人物で、白河にある小峰城も長重が作った城です。棚倉城は別名「亀ヶ城」といい、なんでも堀に棲んでいた大亀が姿を現すと決まって殿様が転封(領主が変わること)になったという言い伝えがあるそうです。
そして、皮肉にも長重が棚倉城の完成を目前にして白河に転封になってしまったそうで、そのときも大亀が現れたのかも……?
阿武隈高地の名瀑「江竜田の滝」
筆者も初めて訪ねる「江竜田の滝」へは、県道177号と、棚倉町内へ入るまで走ってきた国道118号とがぶつかる交差点で、ここで分岐する国道289号のほうへ左折します。
国道から看板に従い下っていくと、大型車用の駐車場が。この先ぐっと道が細くなって対面通行になりますので気をつけて。
その先に普通車用の駐車場があって、バイクを駐めたら滝までは杉並木の林道を徒歩で向かいます。一人だと少々心細いほど。
着いてビックリ! 上流から結構な迫力で流れ落ちてくる立派な滝です。写真は、遊歩道入り口に近い二見ヶ滝です。遊歩道を進むと案内図のようにたくさんの滝がありますので、時間のある方はぜひ歩いてみてください。筆者が訪ねたときは雪も残っておりまだ寒かったのですが、新緑の頃や夏はとても気持ちがいいだろうなと思います。
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