こづゆなど季節の一品がうれしい。蕎麦の聖地「山都」で絶品天ぷら蕎麦を食べる!
年が明け、いよいよ令和2年、2020年でもあり、東京オリンピックが開催される年でもあります!
この2020年東京オリンピック、福島では双葉郡のJヴィレッジが日本全国を巡る聖火リレーのスタート地点にされているほか、野球とソフトボールの開幕戦が福島市の県営あづま球場で行われる予定です。
また、最近ではこのオリンピック聖火リレー効果もあってか、英国のザ・ガーディアン紙(The Guardian)の「2020年に訪れるべき20の場所」という特集では、日本からは福島が唯一ピックアップされています。しかも、福島の美しい自然や美味しい食べ物をベタ褒めしているのです!
いつも福島TRIPでもご紹介している福島の魅力が、英国から逆輸入みたいに日本全国に、そして全世界に広まってくれたら嬉しいですね!
2020年最初の記事は、蕎麦の聖地「山都」の蕎麦をご紹介!
さて、そんな2020年の第1弾は、会津地方の喜多方市、山都町(やまとまち)から美味しいお蕎麦をご紹介します!
山都町は、昔から蕎麦好きにとっては聖地ともいえる地域の一つ。
以前も福島TRIPでご紹介したように、山都の気候風土が原料の蕎麦や水を美味しくしているのは「当たり前」。さらに最高の旨さを目指して技術の研鑚・維持が続けられているほか、品質を保証するための厳しい独自規格を定めることで「山都蕎麦」のブランドを守り続けているのです。
関連記事:現地での三立てが絶品! 名産地として名高い「山都」のそばを食しに喜多方へ
山都蕎麦の条件は大きく3つあり、
1.製粉時に一般的な蕎麦よりもさらに削る(歩留まり約70%以下)
蕎麦の実の外側、約3割近くを贅沢にも削ぎ落してしまいます。これによって見た目は白く美しく、その味わいはまるで日本酒の「大吟醸」のように香り高く透明感ある蕎麦になります!
2.山芋や小麦粉でのつなぎを一切使わない十割蕎麦
よく知られているように、蕎麦粉は粘りが少なく、つなぎを使わずに強いコシの蕎麦を打つのは至難の業。それを、さも当然のようにこなしてこその山都蕎麦。高い技術力の裏付けがなければ名乗れないのです!(もちろん、他の地域の一般的な十割以外のお蕎麦もとても美味しいのですけれども、それはそれとして)
山都町を車で回ると、交通標識までもが「そば粉100% シートベルト100%」なんて呼びかけまでしています。
3.「挽きたて・打ちたて・茹でたて」という理想の「三たて」
蕎麦粉を石臼で挽き、香りが最大に立っている瞬間に打ち、すぐに茹でることを理想として提供されているお蕎麦。この絶品の「鮮度」を味わってしまったら、蕎麦好きにとってはやみつきです!
……というように、山都のお蕎麦は蕎麦の名産地として名高い会津地方の中でもひときわ強い存在感があって、現地に行かなければなかなか味わえない魅力的なお蕎麦なのです。
山都町のお蕎麦屋さんはいずれも名店揃いですが、今回は山都町にお邪魔したお正月の1月4日に、ちょうど新年のオープン初日を迎えていた「手打ち生そば やまびこ」さんに伺ってきました。
「水蕎麦」も味わえる、手打ち生そば やまびこ
やまびこさんは、JR磐越西線「山都駅」のすぐ裏にあります。
今回は車での訪問でしたが、雪が少ない今年は冬場だというのに思いがけずスイスイと到着してしまいました。
さっそく入ろうとすると壁には限定メニューが飾ってあり、時節柄か会津のお正月伝統料理として名高い「こづゆ」つきのセットが。お正月に会津を訪れたからには、やっぱり「こづゆ」はぜひ味わっておきたいところですよね! しかも、これまた会津名物のまんじゅう天ぷらまでサービスとくれば、コレを食べない手はありません。
店内で改めて他のメニューをみると、季節ごとにいろいろな旬を楽しめるみたいですね。
これから先の季節だと寒晒し蕎麦、そのあと春になれば山菜。これは、食べる前からまた来たくなってくるラインナップです。
まだお正月4日だというのに、お店は結構混雑していて、ところどころ地元訛りの賑わいも聞こえてきます。地域の人たちから愛されているお店なのが伝わってきますね。
そして、運ばれてきた念願のお蕎麦とのご対面がこちら! どうですか? 結構なボリュームでしょう?!
お店の方から、最初にこれを……と勧められたのが「水蕎麦」。
実は私、かなりの蕎麦好きでして。昔からざるそばを食べるときにはいつも最初の一口はそばつゆに付けず、薬味もつけずに蕎麦だけで香りと喉越しとを味わう習慣があったのですが。今回、まさにその醍醐味を、お店が最初から用意してくれていたのです。
話には聞いていた山都の「水蕎麦」。この味わいを、別添えで最初に楽しめるのは格別です!
さっそく、蕎麦をすすってみると……、蕎麦特有の香りが凝縮されたかのようにかなり強く感じられます。それでいながら、爽やかに吹き抜けるような透明感と清涼感あふれる口当たりと喉越し。上品ながらも、しなやかなコシの強さ。一口噛みしめれば、さらに深い蕎麦の香りが口いっぱいに広がります。
全国各地で美味しい蕎麦をいろいろと楽しんできましたが、これは本当に、理想的に美味しい! 実に、私の好みのタイプの味わいです。
そして、いよいよメインの蕎麦。確かに私は大盛で注文したものの、これは想像以上の盛りの良さ。
蕎麦好きにとって唯一の難点は、普通のお蕎麦屋さんで一人前を食べても、量が少なくてぜんぜんお腹がいっぱいにならないことです。
(蕎麦好きが高じて素人ながら自分で粉から打ったことも何度かあるのですが、実際に自分でやってみると手間はかかるし、材料費もぜんぜん安く上がらないので、量が少なくなるのも当然だと思えました)
……なのにまさか、蕎麦の実を贅沢に削り、蕎麦粉100%で、挽きたて、打ち立て、茹でたての山都蕎麦が、こんなに惜しげもなく贅沢に盛られてしまうとは。
一口、また次の一口と蕎麦を手繰るたびに何度も繰り返される、あまりにも瑞々しい香りと喉越し! 美味しいのはもちろんのこと、「心地良い」という表現が似合います。これが山都蕎麦の真髄なのでしょうか。これはまるで、霊峰飯豊山の雪解け水、伏流水からの清廉な流れがそのまま身体中を駆け巡るかのようであり、気持ちまで洗われるかのような清々しさですね。そばつゆとの相性も絶妙!
天ぷらもカリカリでサクっとした…なんて、もはやありきたりな言葉しか出てこないのは、こちらも一口ごとに「旨い」のさらに先を行くかのような心地良さが広がって、気持ちも頭の中も、幸せな気分でいっぱいになってしまうから。この写真を見ただけで、舌触りや旨さが想像できてそそられませんか? 実物はもっと美味しいですよ~♪
使われている素材も良し。衣も旨い。そして大きさやボリュームもたっぷり。しかも、なんと会津の高級野菜、赤カボチャまで入ってました。
このカボチャ、普通のカボチャよりもダントツで甘くてほくほくで、食べたことない人はぜったい食べるべき一品なのです。
さらに続くのは、会津のお正月料理「こづゆ」。
こちらも、ホタテ出汁を使った高級品であるにも関わらず、またこの具だくさんっぷりとボリューム。実に贅沢ですね。器からはみ出してこぼれてしまいそう。
よーく出汁が出ていて、味ももちろん美味しい! ホタテを戻すときに清酒を使った? のかな。その風味やコクもしっかり感じられました。
思いがけず、会津のお正月料理にありつけて大満足です。
さらに、お正月ならではの「お餅の天ぷら」と、会津名物である「まんじゅうの天ぷら」。
お饅頭を天ぷらにするなんて、食べたことない人は「ありえない」と思うかもしれませんが、味わってみると、これが意外と「アリ」なんですよー。
甘いものがあまり得意ではない人でも、美味しく食べられちゃいます。
まとめ
今回は、美味しい蕎麦処が多い福島の中から、喜多方市山都町の「手打ち生そば やまびこ」さんをご紹介しました。
思った以上にボリュームがあったので、天ぷらのいくつかはお店の方にお願いして、お持帰りまでさせてもらっちゃいました。お家で夜の晩酌に合わせても、やっぱり最高でしたね。
食いしん坊の私が食べきれないボリュームが、このお値段で。しかも美味しい。なにより、お蕎麦も天ぷらも、一口ひとくちが小気味良く、食べていてとっても気持ちいい!
さらにさらに、最初にご紹介したように季節ごとに旬の彩りメニューが楽しめる上に、山都町にはやまびこさんの他にもまだまだお蕎麦屋さんの名店が控えているのです。これは、何度山都町に通っても足りない……かも?
お蕎麦好きな方はぜひ、山都町にお出かけになってみてくださいね。わざわざ出かけるかいがありますよ!
〒969-4142 福島県喜多方市山都町広野七十苅2320-9(Googleマップ)
0241-38-3131
11:00~15:00(1~3月)/ 11:00~18:30
木曜日(祝日は営業)