【金水晶ツアー完結編】飯坂線を走る貸切列車で、田植えした酒米からできたお酒を堪能!
みんなで5月に苗を植え、10月に稲を刈った酒米が、ついに日本酒になりました!
今回は「酒米からつくる金水晶」全3回シリーズの最後、「初しぼり編」をお届けします。
これまでの記事はこちら!
→ 地酒「金水晶」の酒米田植え体験から酒蔵見学までできる1日ツアーに参加してきた!
→ 造り手の心意気を感じればさらにお酒が美味しい! 金水晶ツアー「稲刈り編」に参加してきた
ジモティーの足「いい電」を貸し切って、出発進行!
11月の最終土曜日、午前10時40分。だいぶ冷えてきたものの晴天に恵まれた福島駅前に、ニコニコ顔の大人たちが続々と集合しはじめました。「初しぼりで乾杯!! いい電貸切列車『金水晶号』で呑む!」に参加の皆さんです。
昼間から福島市の地酒・金水晶酒造のおいしいお酒が飲める。しかも電車の中で! そして目的地に着いたら温泉! というこのツアー。日本酒好きはもちろん、鉄ちゃん・鉄子さんにもオススメのイベントなんですよ。実は去年、田植え・稲刈りをすっ飛ばして、ちゃっかり最後の「初しぼり編」だけに参加した筆者。その非日常的快感を忘れられず、これだけは次もぜったい参加するぞ! と決めていたのでした。
なにが非日常かって、これからじっくりご紹介しますね。
まず、ツアータイトルの「いい電」というのは福島交通飯坂線の愛称です。福島駅から飯坂温泉駅まで全12駅。地元では通勤通学の足としても親しまれています。
このツアーでは、その「いい電」のダイヤの合間を縫って、なんと貸切列車を走らせてしまうんですねー。
始発の福島駅では、飯坂線と阿武隈急行線が同じホームをシェアしています。なんかこの、昭和っぽい看板が好き(笑)
貸切列車はその名も「金水晶号」。ヘッドマークも特注です。
▲このマークをデザインした “飯坂電車デザイナー” 小松大希さん▲
ホームで金水晶酒造4代目の斎藤美幸社長から升を受け取り、いざ車内へ♪
ね、非日常(笑)。動く乗り物の中で飲み食いするって、なぜだかそれだけでウキウキしませんか? それも、4人掛けボックス席の長距離仕様ではなく、ごく普通の通勤電車の中にテーブルと提灯というシーンはとっても写真映え。
指定の場所に着席するとまもなく、斎藤社長の合図で飯坂温泉へ向けて出発進行です。
さてさて、テーブルの上には「初しぼり」純米生酒が待っています。おお、あのコメがこのお酒に……、と感動するのはまだ早かった。これは私たちが田植え・稲刈りした酒米「夢の香」ではなく、「五百万石」という品種で醸したお酒でした。
さっそくカンパーイ!あ~うまいね~(笑)
そして今回のお酒のお伴は、「福島りょうぜん漬」スペシャル弁当です。これも筆者は楽しみでしたー♪
「福島りょうぜん漬」は地元で “お漬物といえばこれ” という存在。老舗の森藤食品工業さんの製品です。
本日の折の中は、人気のとうちゃん漬(キュウリ)、定番のいか人参、山芋や野沢菜、豆ゴボウなどが、古代米を炊き込んだご飯を囲んでいました。じっくり乳酸発酵でちゃんと素材の旨味が引き出されたお漬物たちは、同じく発酵の技術で造られる日本酒と相性が良くないわけがない!
この日はなんと、森藤食品の「漬物王子」こと森藤さんも飛び入り乗車されました。
(森藤さんが漬物について熱く語る「漬物王子のブログ」)
鉄道ファン必見の車両基地で、新酒の鏡開きと振る舞い酒!
この「いい電」、通常は福島駅から23分で終点の飯坂温泉に着いてしまいます。ですが、この日は特別列車。途中の桜水駅にある車両基地に“寄り道”です。このとき、あのスイッチバックという車両操作を行うのですが、バックギアのない電車がどうやってバックするのか? それは参加してのお楽しみ(笑)
で、着きましたよ。普段は入ることのできない車両基地。これだけでも鉄道ファンはワクワクではないでしょうか。
ここでいよいよ、ワタクシたちが汗水流して田植え・稲刈りした「夢の香」を使った、金水晶純米大吟醸がいただけます!
いや、ほんとうに汗水流して育ててくださったのは、コメ農家の丹野友幸さんですけどね(笑)。この日も車両基地で一行をお出迎えくださった丹野さんに伺うと、今年のおコメの出来は昨年に比して上々。「すっきり軽やかな飲み口のお酒になりました」とのこと。
▲丹野さん(右)と、ツアー主催f’sぽけっと社長の齋藤久美子さん▲
会場には、そんなおいしいお酒を醸してくださった金水晶酒造の製造スタッフの方もいらしてました。
まずは金水晶号の前で鏡開き。今年の田植え・稲刈り・初しぼりとシリーズ皆勤賞の9名に、その栄誉が与えられました。なにげに筆者も写っております(笑)
いまさらですが、日本酒って農産物の加工品なんですよね。春に苗を植えて秋に稲を刈り、それを精米して醸して、はじめてお酒になる。できた製品だけは通年飲むことができますが、米作りのサイクルは1年に1回だけ。出来はその年の天候にも左右され、人知の及ばない自然の力と向き合わざるを得ないのが農業です。
この「酒米からつくる金水晶」ツアーで、たとえ1日ずつでも田植えと稲刈りに参加して、いま目の前の一杯にどれだけ人の手間と時間がかかっているか、じっくり思いを馳せることができました。去年と比べて「初しぼり」の味わいもひとしおでしたよ。
さて、この後は、車両基地で飲みながらみなさんと談笑するもよし、車両に戻ってりょうぜん漬と共に楽しむもよし。でもやっぱりフォトスポットは金水晶ヘッドマーク前ですよね。いやー皆さんゴキゲ~ン(笑)
お持ち帰り用に販売されていた金水晶も、あっという間になくなっていきました。
みなさんいい気分になったところで、車両からなにやら三味線の音が……?
こちらは、飯坂温泉の旅館を切り盛りする若旦那3人の三味線ユニット、その名も「飯坂だべしたーず with みちこ」さんです! ボーカル、いや歌い手の美智子さん、まだ中学生とは思えない歌唱力をぜひ動画でお聞きください。みなさんご存知の、あの民謡です。
電車の中で生演奏って、外国の地下鉄では見たことがありますが、日本ではまずあり得ない光景。演奏中に電車は飯坂温泉へ向かって走り出し、最後の1曲「飯坂小唄」では、参加者みんなで動く電車内を踊り歩き。いいですねー、この非日常感(笑)
このあと電車は終点の飯坂温泉駅に到着して解散です。今回も楽しかった♪ ありがとうございました!
飯坂ラーメンと温泉でパーフェクトな休日のできあがり!
さて、時計は12時45分。お酒の後はラーメンと相場が決まっています。筆者はまっすぐ次の目的地「保原屋食堂」へ向かいました。なんでも、ご当地名を冠した「飯坂ラーメン」はこちらのオリジナルだとか。
ほー、2種類あるのね。やっぱりここはしょうゆ味の「けんか祭り」ですかね。飯坂のけんか祭りは毎年10月初めに行われる勇壮なお祭りで、その激しさは有名。日本三大けんか祭りにも数えられるとか。
おお、たしかに具だくさん! ツルっとした食感のストレート麺の上に、しっかり味のついた特大チャーシューが3枚、それにワンタンや揚げ玉までのってます。コクのあるスープで食べ応え満点、お酒とお漬物に刺激された食欲もたっぷり満たされました。ごちそうさまでした!
この後はゆっくり町を歩いておなかを鎮め、共同浴場で極上の湯を堪能。
▲いちばん駅に近い共同浴場「波来湯(はこゆ)」▲
ぜいたくな一日でした。あ、仕事ですよ、仕事(笑)
まとめ
自分の手で苗を植え、実った稲穂を刈り取り、そしてそのコメで醸した出来たてのお酒をいただく。こんなすてきな「酒米からつくる金水晶」ツアー3回シリーズは、毎年催行されています。
ただの農業体験ではなく、ただの利き酒会でもない、造り手さんたちの顔を見て直に話を聞き、「日本酒造り」とはなにかを学べるこのツアー。ぜひ来年もお楽しみに!
福島市松川町字市坂16-26
024-563-5830
福島市飯坂町東堀切11
024-542-4348
11:00~14:30、17:30~21:00(月曜は14:30まで)
おまけ
飯坂温泉の名物といえばラヂウム玉子。いわゆる温泉玉子なんですが、ここは「日本最初のラジウム発見の地」ということで(駅前に記念碑あり)、そう命名されています。
その飯坂の新たな産品として登場したのが、地元のフルーツなどをふんだんに使った「飯坂温泉グラノーラ」。
この2つをドッキングして、ソフトクリームにトッピングするという、その名も「ラヂグラソフト」なるメニューが、福島駅西口コラッセふくしま1Fの観光物産館ラウンジに登場!
そうです、これらを自分でミックスするのです。
一見「え?」と思う組み合わせですが、ラジウム玉子でいっそうまろやかになったソフトクリームに、グラノーラの食感とドライフルーツのほのかな酸味がマッチして、超美味ですよ。考えた人すごい(笑)。ぜひお試しあれ♪
【お知らせ?】
明日11/16(土)よりラヂウム玉子×飯坂温泉グラノーラ×ソフトクリームが合体?何かとツッコミどころも満載の新スイーツ商品その名も、、、“ 飯坂温泉『ラヂグラソフト』“
の販売が実現いたしました???♨️
※福島県観光物産館でのみ販売です#飯坂温泉 #ラヂグラソフト pic.twitter.com/JWuyCTtux5— 元祖ラヂウム玉子/阿部留商店【公式】 (@radium_tamago) November 15, 2019
福島市三河南町1-20
024-525-4031
https://www.tif.ne.jp/bussan/bussankan/
9:30~19:00(年中無休)