10月の第2週は、古殿八幡神社に800年続く伝統の神事「流鏑馬」を観に行こう!
10月になって、本格的に秋らしさを感じるようになってきましたね!
実りの秋を迎える福島では、美味しいものがよりどりみどり。各地では秋のお祭りも盛んに開催されます。
さて、今回ご紹介するのはそんなお祭りの一つで、石川郡古殿町(ふるどのまち)で行われる『古殿八幡神社例大祭』です。
毎年10月の第2土曜から日曜にかけて行われるお祭りで、令和最初となる今年は、10月12日(土)と13日(日)に開催されます。
古殿町は福島県の南東部に位置する、人口5200人近くの山あいの町です。北は宮城県南部から南は茨城県まで連なる里山「阿武隈高地」の南部にあり、「御斉所街道(ごさいしょかいどう)」と呼ばれる東西に走る県道14号線いわき石川線と、阿武隈高地を南北につなぐ国道349号線とが交わる、古くからの交通の要衝でした。
そんな古殿町からご紹介するお祭りの一番の見どころは、なんといっても「流鏑馬(やぶさめ)」と「笠懸(かさがけ)」です!
ご存知の方も多いと思いますが、いずれも騎馬武者が疾走する馬上から的に鏑矢(かぶらや)を射るもので、この地に800年以上も続いている神事であり、福島県の重要無形民俗文化財に指定されています。鎌倉幕府初代将軍である源頼朝公から、ここに領地を与えられたことを記念してはじまったと伝えられています。
この地で流鏑馬と笠懸が盛んであったためか、その後の戦国時代でも「古殿といえば騎馬と弓」を強く感じさせる歴史があります。
全国的にはあまり知られていないかもしれませんが、実は古殿町には戦国時代に「竹貫(たかぬき)衆」という弓矢の精鋭として恐れられた修験一族がおりました。
現在のいわき市近辺を支配していた岩城家に仕えたこの竹貫衆は、「かもほこ弓(かまぼこ弓)」という、容易には扱えない極太の大弓を構えて戦い、番(つが)える矢も独特の形状で、尖矢(とがりや)は直線的に射切ることができるよう作られ、狩股は「猫潜り(ねこくぐり)」と呼ばれる、猫の頭がくぐれるほど広くわかれた矢じりのものでした。
竹貫衆の勇猛さ、そして独特の弓矢の威力は凄まじく、弓兵でありながら鉄砲隊をも凌駕するような戦ぶりで、佐竹家・芦名家・岩代家などの連合軍と、伊達家とが死闘を繰り広げた「人取橋の合戦(ひととりばしのかっせん)」(※現在の福島県本宮市に古戦場跡があります)は、伊達政宗公の生涯で最も手痛い敗戦であったと言われています。
また、この地は良馬にも恵まれていました。
古殿町のある阿武隈高地は、なだらかな里山が広がる地域であり、古来から名馬の産地としても知られています。
国の重要無形文化財「相馬野馬追」で知られる相馬藩(福島県相馬市、南相馬市、相馬郡、双葉郡の一部)も阿武隈高地北部に藩領を持ち、江戸時代には三春藩(阿武隈高地中部、福島県田村郡と田村市近辺)の軍馬は大変質が良いことから「三春駒(みはるごま)」と呼ばれ重宝されてきました。
(相馬野馬追)
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現代になって阿武隈高地は黒毛和牛をはじめとした畜産業が盛んな地域になっていますが、これも古くからの馬産地としてのノウハウが生かされたといわれています。
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鎌倉時代から800年以上受け継がれてきた「流鏑馬」と「笠懸」。それはまるで、精強屈指な騎馬武者たちの魂が、今も脈々とこの地の人々のなかに生きているかのようです。
……どうでしょうか? 観に行ってみたくなってきませんか?!
古殿八幡神社例大祭のスケジュール
古殿八幡神社例大祭は、土曜日の宵祭、日曜日の本祭に分かれています。
おすすめのポイントは、もちろん神事としての「笠懸・流鏑馬」が一番ですが、初日の午前11:40分からの「流鏑馬大会」もオススメです。
宵祭で開催されるこの大会は、流鏑馬の射手と後継者を育てる意味合いも兼ねた競技大会で、神事である流鏑馬と笠懸とを比較的気軽に、身近に楽しめるイベント。本祭の神事に比べるとやや空いているので、穴場的な楽しみ方ができます。
また「流鏑馬太鼓」の演奏もおすすめです。この阿武隈高地地域では太鼓の文化も盛んで、県北の川俣町では「山木屋太鼓」、県中部でも田村市大越町の「鬼五郎・幡五郎和太鼓」や小野町の「こまち夢太鼓」などが広く親しまれています。ぜひ、この地域の太鼓の演奏も堪能してみてください!
二日間にわたって行われる祭りでは、これ以外にも剣道大会や弓道大会、ウルトラマンタイガショーやフラダンスなど、イベントが盛りだくさん。露店も多数出店するにぎやかなお祭りです。
※台風19号の接近に伴い、イベントスケジュールが変更になっています。詳しくは古殿町のホームページをご確認ください。
とっても魅力的な、古殿町のお土産
せっかく古殿町に行ったからには「食欲の秋」らしく、古殿町の美味しいお土産もご紹介します!
まずおすすめしたいのが、古殿町の「マルマン味噌」。実はリピーターやお取り寄せも続出の「美味しい!」と話題の商品です!
厳選された国産の大豆と米こうじを使って、昔ながらの天然醸造で造り上げられる味噌は、まさに王道の味わい。特別な派手さはなくとも、口にするたびにクセになるような、深いコク味と豊かな香りとを感じさせる逸品です。
極上の素材を使い絶妙のバランスで醸された「本格醸造」の味噌は、まさに理想の味噌。知る人ぞ知る、古殿町きっての名産品です。
続いては、アクツコンニャク。明治時代の創業ですが、これもその品質の良さから古殿町外でも引っ張りだこ。一部はデパ地下にも並び、県内大手スーパーからはプライベートブランド商品の製造を任されているほどの、信頼の味わいです。
最後にもう一つご紹介するのは、古殿町が誇る酒蔵「豊国酒造合資会社」。
全国新酒鑑評会での金賞受賞数が、前人未踏の「7年連続日本一」となっている福島の酒ですが、この古殿の豊国酒造はその一角を支える、欠かせない存在になっています。
全国新酒鑑評会では平成19年以降、12年連続で金賞を受賞しているほか、東北のお酒(南部杜氏)の鑑評会でも二大会連続の首席を獲得するなど、輝かしい成績をおさめているのです。
実は、この豊国酒造合資会社が醸す大吟醸「幻」は今から20年近く前、それを初めて飲んだ、当時お酒を覚えたてだった私を、日本酒の美味しさという底なし沼に突き落とした罪深いお酒でもあります(笑)
日本酒を覚えたての方も、ベテランの方も、ぜひこの酒蔵の地酒を味わってみてくださいね。
なお、今回ご紹介した3つのお土産の製造地の住所は、いずれも「古殿町竹貫」地内です。竹貫の名が、今もこの地には深く受け継がれているのですね。
まとめ
今回は、福島県の重要無形文化財でもある「古殿町の流鏑馬・笠懸」が見られる古殿八幡神社例大祭をご紹介しました。
一年に一度しか見られない貴重なお祭りですので、ご家族でぜひお出かけしてみてくださいね。
ご紹介したお土産は、古殿町内にある「道の駅ふるどの」でも購入できます。
こちらもぜひお立ち寄りください。
住所:福島県石川郡古殿町山上古殿38(Googleマップ)