東北最大級の道の駅「道の駅国見あつかしの郷」は充実した食のテーマパーク
またまたやってきました、道の駅。
今回は国見町にある「道の駅国見あつかしの郷」です。こちらは2017年5月3日のオープンから1年余りで来場者200万人突破という大人気。
実際に訪れてみて、その人気の秘密がよ~くわかりました。じっくりご紹介していきましょう。
千年の歴史を持つ国見町に誕生した、東北最大級の道の駅
その前に皆さん、国見町(くにみまち)ってご存知でしたか? 福島県内には59もの市町村があって、同じ県民でも離れた場所の小さな町村となると正確な位置を知らなかったりします(^^;;) 。
国見町は福島県の北端、宮城県と接する面積38平方キロの小さな町。福島市から仙台へ向かって国道を走っているといつの間にか通り過ぎちゃうので(すいません)、この道の駅ができるまで筆者もあまり認識しておりませんでした(本当にすいません)。
でもこの町、実は歴男・歴女の皆さんには垂涎の場所かもしれません。平安末期の文治5年(1189年)、源頼朝が率いる鎌倉軍を、藤原家の第4代当主・泰衡(やすひら)が迎え撃った「阿津賀志山(あつかしやま)の戦い」の地なのです。
奥州合戦最大の激戦といわれたその戦で泰衡が築いた防塁の跡は、いま国指定の史跡として残っており(上の写真)、その隣には泰衡の首桶に納められていた蓮の種が開花したという、みごとな蓮池が広がっています。(7~8月の満開時に国見を訪れたら、ぜひ立ち寄ってみてください)
そんな国見町にできた県内30番目の道の駅、「あつかしの郷」ですが、「あつかし」の名前の由来はもうお分かりですね。
さて、駐車場入り口を入ってまず驚くのは、その大きさ。敷地の広さ約26,000㎡は東北地方で最大級だとか。
ここでちょっと屋根を見てみてください。なんだか波打ってますよね。この「うねうね」は、先ほどご紹介した国指定史跡の防塁(二重堀)をモチーフにしてるんだそうです。なるほどー!建物全体のデザインにはふんだんに木材が使われていて、なんとも優しい雰囲気が醸し出されています
すべて直営、こだわりの「国見の食」
ここから先は中のレポートなのですが、結論からいうと「これほど『食』が充実した道の駅はめずらしく、それが人気の秘密では?」と感じました。(もちろん筆者は全道の駅を踏破したわけではないので、あくまで個人の感想ですが)
少し前まで道の駅で飲食というと、ご当地の食材を多少は使用していても、そば、うどん、定食といった普通の食堂的メニューやB級グルメ的なものが多かったように思います。最近は、カフェやスイーツのテナントが入ったりしてかなりバラエティ豊かになっては来ましたが、それが他所にも出店しているチェーン店だったりすると、ご当地感はちょっと薄れてしまいますよね。
その点、この「あつかしの郷」内にある3つの飲食コーナーは、すべて運営会社である「国見まちづくり株式会社」が直営しており、明確なコンセプトをもって「国見の食」を提供しているように思いました。
まずこちらは、レストラン「桃花亭」。地元食材をふんだんに使ったランチバイキングは、このとおり見た目も鮮やか。お野菜たっぷり、スープやカレー、スイーツコーナーもあります。
実際に食してみましたが、安いホテルの朝食バイキングなんかとはレベルが違う。どれも優しい味付けで丁寧に作られているのがわかります。あまりに種類が豊富で全部は食べ切れません!
これで大人1時間1,080円。正直「安すぎないか?」と思いました。季節によって、また仕入れる食材によってメニューは少しずつ変わるというので、これは絶対また食べに来ちゃいますね。はい。
そして隣のファーストフードコーナーでは、あの「国見バーガー」が食べられます。「ご当地バーガー特集」なんかで見たことはありましたが、筆者がトライするのは今回初めて。いまではチキンソースカツ、ホットチリ、最近誕生したフルーツ(?!)など具材の種類はいくつかあるそうですが、元祖は「クラシックさば味噌」(450円)。初心者は当然これでしょう。
……んーこれね、さば味噌とトマトのコンビネーションが絶妙です。クセになります。
ちなみに、海のない国見町で何故「さば味噌」?と思う方もいらっしゃるでしょう。冷蔵庫のない時代、こうした内陸地で食べる海産物といえば塩蔵品や味噌漬けしかなかったんですね。
聞けば国見でも以前からそうした魚がよく食されており、町内の佐久間商店さんが作る「さば味噌煮」がおいしいと評判だったのだそう。そこで、同じく町内にある佐久間ベーカーリーさんのおいしいパンと組み合わせ、ご当地バーガーが誕生したというわけでした。
そしてさらに隣のジェラートコーナーへ移動。ここでは国見産米「天のつぶ」の酒粕ジェラートが気になって、あんずとダブルでいっちゃいました! どんだけ食うんじゃー@o@
なお、このジェラテリアではパンも買えます。「焼きたてパン工房」のコーナーにはいろんなパンが並んでいましたが、なんといっても目を引くのは「大きなメロンパン」。子供の頭くらいありますが、見た目より軽くて意外にペロッといけちゃうとのこと。昼前には売り切れる人気商品だそうです。すごいなー。
桃、桃、桃!その種類は40以上!
「あつかしの郷」の食はまだまだ終わりません。
レストラン「桃花亭」の奥にはなんだかすてきなカフェコーナーがあって、ケースの中のおいしそうなケーキたちが手招きしています。その名も「ももたんカフェ」。こちらのケーキもすべて、まちづくり会社で作っているオリジナルで、コンセプトは「昔ながらのケーキ屋さん」だそうです。
「昔ながら」というだけあって見た目はたしかに素朴です。が、どれも町産の果物などがふんだんに使われていて、内容的には超贅沢なケーキとみました。うぅ、このケーキ食べたい。無造作に特大サクランボが載ってるやつが食べたい。……しかし、バイキングと国見バーガーとダブルジェラートでもうお腹がはちきれそうだった筆者は、泣く泣く断念。必ずや近日中のリベンジを誓ったのでした。
ももたんカフェでは、こうしたスイーツのほか、パスタやオムライス、朝の定食なども提供しています。そして、4人以上で3日前までに予約すると、英国式のアフタヌーンティーも楽しめちゃうそうです。いや、こんな道の駅、なかなかないと思いますよ~!
▲ももたんカフェメニューより▲
ちなみに「ももたん」とは国見町の公式キャラクターの名前です。
▲ももたん▲
そう、桃です。国見は桃の郷なのです。取材したのは7月初旬、産直コーナーには桃が山のように積まれ、そのそばから飛ぶように売れていってました。桃の郷とは縁のない場所で生まれ育った筆者は、桃といえば白か黄色か、くらいの区別しかつきませんでしたが、実は桃って40種類以上もあるんだそうです!
国見では6月下旬から出荷が始まり、遅いものは10月下旬まで。次々と産直に出てきます。取材のときに並んでいたのは「はつひめ」という品種で、主力の「あかつき」は7月中旬からだそうです。
ちなみに、福島の桃については、桃への愛にあふれたこちらの記事もどうぞ。
参考:桃の季節が始まる!おすすめしたい福島の桃20品種+2【評価ガイド付き】
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